初めての監査法人での業務、そして業務後の試験勉強で私は心身ともに疲れ切っていた。疎遠になることを嫌い、良かれと思って彼女と同棲したことが裏目に出た。
彼女は短気でヒステリックな性格だった。私も神経をすり減らしながら勉強して働いていた。
ついにお互いが爆発したのだ。
あろうことか、彼女は部屋にある私が大切に育てていた観葉植物をすべて床に投げつけたのだ。当然植木鉢は粉々になり、土が部屋中に飛び散る。
ぶち切れた私は怒鳴り散らし、彼女は金切り声を上げる。地獄絵図だったと思う。
相当大きな音がしたのだろう、直ぐに窓の外に赤灯が見え、インターホンが鳴った。私はすぐに警察が来たことを悟り、扉を開けて警察官を部屋に迎え入れた。
⇒警察は通報から20分以内には駆けつけてくれる
私たちは別々に事情聴取を受け、解放されたのは夜中だった。
〇そうかと思った。だってそうだろ?俺は仕事も、勉強も、家庭も両立したい。だから受かるまで支えてくれると信じて同棲を始めた結果がこれだ。試験の直前期で警察沙汰になるような彼女をどうやって愛するんだよ。
と、当時の私は思っていた。今の私から言わせれば、彼女が自分を支えてくれるなんて自分の期待に過ぎない。それに、最高クラスの難易度の会計士試験に加え、仕事と彼女という3つを両立させるという普通では考えられない難易度のことをやっているのだ。どこかに綻びが生じてもそれは仕方のないことなのだ。
⇒他人への期待は時に怒りに変わる
こんなことがあってもなお、彼女との同棲は続いていた。こちらには住居を移す体力は残っていなかった。私は精神状態が考えうる限り最悪とも言える状態で勉強を続けた。
この時、試験まで、残り1か月程しか残っていなかった。
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