「じゃあやっていこうか!」そんな金本店長の掛け声でバイト初日は始まった。
俺の格好は黒いパンツ、革靴、白シャツにネクタイ、そしてその上から寿司屋っぽい羽織と帽子をかぶっている。
「とりあえず最初は見とき!」そう言って店長は手際よく米と酢を混ぜ始めた。
「米ひと箱に対して大体こんなもんや。」そう言って混ぜた酢飯を少し食べさせてもらった。確かに均一に混ざっていて美味しかった。
そして店長は、酢飯を一口大にとって丸め、それを10個くらい調理場の上に載せてこう言った。「重さ量ってみ。」
一つ目を手に取り重さを量った、25グラム。二個目、三個目も25グラム。なんと誤差1グラム程度で10個取ってのけたのだ。
「慣れればできるようになるで。」そう言って、寿司のシャリは25グラム、てまり寿司は20グラム、ちらし寿司は250グラムとお米の量を覚えていった。
感覚の鋭さには自信がある。指先を使うのも大好きだ。これは脳にもいい影響があるぞ!そう思って寿司修行に身を入れていった。
⇒one for勉強、all for 勉強!
始めはどんな散らし寿司を作るかも全く覚えられず、お米も毎回量ってのせていたが、2か月後には店長と遜色ない、むしろ俺の方が早くて正確に調理できるようになっていた。
これは持論だけど、会計士レベルの試験をクリアする集中力をもってすればどんな分野でもすぐ上達すると思う。
バイトの中でも結構存在感出せるようになってきたかな、と思い始めた時事件は起こった。
店長と社員が退職した・・・!
そんなことある?w
総料理長のタナカと馬が合わなかったようだ。現場には来ないが俺もそんなに好きではなかった。
そこで代わりに助っ人として現れたのが、中村さんである!(60くらいのおじちゃん)
中村さんは最高だった。
まず、昔のことをあたかも自分が体験したかのように語りだすのだ。
「あれは、関ヶ原やったかな。徳川と石田がやりあったやろ?沢山の人が死んでなぁ」
こんな具合である。
ただ、調理一筋40年以上というだけあって料理の腕は一流だ。立ち方、包丁の持ち方使い方、段取りの仕方、掃除の仕方等、ことキッチンに関する基本は全て教えてくれた。これは今でも役に立っている。
勉強にも理解があって、シフトも融通してくれた。賄いも出してくれてすごく助かった。
俺の合格を陰で支えてくれた人の一人だ。
⇒いい出会いがあると勉強が加速するよ
時を同じくして、勉強の場所を探していた俺はある場所に行きつく!そしてそこでもいい出会いに恵まれるのであった・・・!
コメント