最高の気分で目ざめた俺は絶好調だった。意気揚々と試験会場の関西大学に向かった。実は大阪の土地勘は全く無かったので、1週間前に会場の下見をしていた。行き方も電車の込み具合もバッチリ予想済みだ。
⇒会場の下見をしておくと気持ちに余裕を持てて良いかも
会計士試験の論文式試験は3日間で行われる。
初日は監査論・租税法、2日目は会計学1・会計学2、3日目は企業法・経営学だ。
会計学2は3時間、他は2時間の長丁場の試験だ。俺は3回目のチャレンジだったが、一つラッキーな事があった。
1回目受験で経営学、2回目受験で監査論を科目合格(免除)していたのだ。
つまり、1個目と最後の試験を免除されていたのである。初日遅く行って、最終日早く帰れる。意図した訳じゃないけど、なんて良い科目合格のとり方なんだと思い、合格を確信した。
⇒なんでもポジティブに!
初日は1科目だけなので、サクッと終わらせて2日目を迎える。勝負は2日目、会計学の出来で決まると言っていい。
2日目の会計学1はかなり苦戦を強いられた。一番得意な科目だったけど、試験は水物。あまり振るわなかった。他の人もそんなに出来ていないだろうと考えて、会計学2に勝負をかけた!
会計学2の試験が始まり、問題を確認した時に俺は勝ちを確信した。ヤマが全て当たったからだ。
ヤマを張る、と言うと聞こえは悪いが、ヤマ張りは技術であり、当てる方法は存在する。具体的には別の章で詳しく紹介したい。
⇒ヤマを的中させろ!
苦手な理論科目はヤマ張りによってカバーして、得意な計算でかなり正答することが出来たと思う。試験終了時には、会計の神様が俺を合格させようとしている、そんな気持ちに包まれていた。
3日間の企業法が始まる。油断ならない。会計士試験は1科目でも4割を切ると不合格になってしまう。
企業法は平均点を取れればいいと考えてあまり力を入れていなかった。正直問題もよく分からなかったが、ひたすらに条文を引いて書き殴って趣旨を書いて結論を書いた。必死、というよりも無我夢中だった。
そして試験官から試験終了を告げられる。
「やり切った…!」心の底からそう思えた。決して完璧ではないけど、全ての努力や積み上げてきた事を出し切れた。
この時、試験会場の窓の外は晴れていて清々しい気持ちになった。
試験会場を後にすると、俺は監査法人時代の同期のもっちゃんに電話をした。もっちゃんも経営学が免除だったから終わる時間は同じだった。
お互いに受かったと思っていること、晴れ晴れとした気持ちで、もう来年はゴメンだねと笑いあった。
軽い電話の気持ちだったが、お互い試験後に思う所もたくさんあり1時間上通話していた。
こうして波乱だらけの公認会計士論文式試験の3回目の挑戦が終わったのだった。
この時はまだ試験後にも波乱がある事を知る由もなかった。
コメント