父のメールを見た俺は、全く実感が湧きませんでした。小さい頃から家の近くにおばあちゃんの家があり、行けばいつでもおばあちゃんがいる。そんな感覚でした。
神戸に住んでいるので、東京に行くのは手間も時間もお金もかかるし、なにより勉強習慣が中断されてしまいます。俺は父の助言通り東京に戻る事はしませんでした。
そして数日後祖母の死を告げるメールが父から届きました。
正直全く実感が湧きませんでした。死に立ち会っていないため、何年も経ってこれを書いている今も実感はあまりありません。
でも、考えていた事は1つです。
公認会計士試験に絶対に合格しておばあちゃんに喜んでもらう。俺は高校に受かった時のおばあちゃんの手紙を思い出していました。
本当は生きているうちに受かって報告をしたかった。それでも、俺をずっと応援してくれて、勉強が出来るきっかけを作ってくれたおばあちゃんのためにも合格を決意しました。
今思えば実感がなかったのは、受験に影響が出なかったので良かったのかもしれません。気持ちだけが固まり、今までよりももっと集中して勉強をするようになりました。
俺が高校を中退したとき、家族はみんな悲しんでいたと思います。当時の俺に家族のことまで考える余裕はありませんでした。公認会計士試験に受かって、せめて恩返しをしたい、おばあちゃんはもういないけど父や母には直接いい報告をしたい、そんな気持ちになっていました。
⇒恩は返せるうちに
それからはかなり根を詰めて勉強しました。仕事、家事、勉強、彼女と全てを完璧にこなそうと張り詰めていました。
ずっとアドレナリンが出ているような状態だったと思います。その結果、また過去と同じ危機に陥るのでした。
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